残滓とともに

台風の残滓とともに10月が始まり、タテイト珈琲店の一週間が始まりました。

台風には非常に気を揉みましたが、当店は浸水もなく無事に。
加古川市は暴風域には入ったものの、雨雲をかいくぐるような位置だったのか、雨はさほどでした。
気が張りっぱなしで疲れましたが、命と生活を守るうえでは決して無駄ではなかった。
ただ、目の前の自分ごとが済んで、少し引いた目で冷静に周りを見渡すと、其処此処で被害。
少しほっと落ち着きたい。


10月。好きな月です。
郷里では秋祭り。郷里は大阪です。
大阪の秋祭りは「岸和田だんじり祭り」が有名ですが、大阪では「だんじり」自体は最南部の2市1町を除き、全市町村に存在します。
祭りの規模の大小はまちまち、だんじりの型や大きさも地形などによって異なりますが。
兵庫県東部も、旧摂津国だからでしょうか、だんじりが多いですね。

店主は「だんじりの無い2市1町」の出身。
代わりに、「やぐら祭り」という似たような地車があります。

やぐらを平たく表現するなら、だんじりから4つのコマを取って、2つの大きな車輪を付けたようなもの。
似たような見た目ですが、起源は全く異なるそうです。
「和歌山から伝わった祭りであり、和歌山から山を越えるためには二輪が適していた」という説があったり、
「天領地であったために京文化の影響が強い」とする説があったり。
大阪の中でも異彩を放つ祭りですが、その異彩の理由までは詳しく存じません。
岸和田のだんじりが勇壮だとすれば、やぐらは優雅。そんな印象。
軽やかな笛の音色はまさにのどかな地方の秋祭り。
金色の稲穂の中に佇む姿は、何十年も前からきっと変わらない。




高砂市でも姫路市でも、今月は豪壮な秋祭りですね。
今は縁あって播州に住んでいますが、そんな縁があるとは思いもしなかった昔から、よくサンテレビで「播州秋祭りシリーズ」を観ていました。


それにしても、秋祭りや運動会の日の、澄み切った凛とした空気。
今日のような、体に染み渡るような空気。
何物にも代え難い、秋の贈り物だと思います。

タテイト珈琲店

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