からサー

漫画が好き。
一番好きな漫画は「からくりサーカス」。
連載終了から十数年、今になってまさかのアニメ化。
店には置いておりませんので、是非アニメを。

僕と同世代の方、特に男性は藤田和日郎の「うしおととら」「からくりサーカス」にどっぷりハマった方も多いのではないかと思います。
僕がもし文部科学省の偉いさんなら、両方とも国語の教科書に載せます。


大人が涙を流すということは悪いことだと思っていました。
でも、自分が年齢を重ねるにつれ、そうでもないなと思う。
もっとも、それは僕が僕にとっての大人になれていないからなのかもしれません。
ただ、涙を流すことはストレスの発散。汗を流すように、涙を清く流したいときがある。
そんなときに僕はからくりサーカスを読みます。
何度読んでも、必ず涙。
感情の揺さぶり方が凄まじい。


思えば、藤田和日郎は僕の関心の幅をグイッと拡げてくれました。
うしおととらを読んで柳田國男の遠野物語をはじめとした民俗学に興味を持ち、
からくりサーカスで古代ギリシア悲劇やイタリアのコンメディア・デッラルテといった舞台の造形に関心を持ちました。

僕は藤田和日郎という一人の漫画家から実に多くのものを享受していますが、そもそも藤田和日郎はどんなインプットをしているのか。
僕はあくまで受け身です。
しかし、作者という"作品の神"は能動的でなければならない。
作者の力を借りて知識を1手に入れたことで満足する僕とは違い、0から1を生み出す作者はどれだけ貪欲な知的好奇心を持っているのか。
そこへの興味は尽きません。


この「からくりサーカス」、特徴的なのが、章立てから登場人物、演出まで、全てが"舞台"に仕立てあげられています。
作中でも用いられる言葉ですが、
まさにシェイクスピアの「この世は舞台なり。誰もがそこでは一役演じなくてはならぬ」です。


さしあたって、僕の役柄は「タテイト珈琲店店主」。
主役を演じているつもりでも、お客さまにとっては背景の木。とんだ道化です。
皆さまは何を演じているのでしょう。


明日、日曜日は定休日。
天気は崩れるようです。明日は家で漫画かな。

タテイト珈琲店

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