きっと夏の匂い


先週もこんな天気があったはずなのに、7月に入ったというだけでぐっと夏色が濃くなった気がします。
暦なんて人間が勝手に決めただけなのに、不思議。


閉店後の日課のひとつ。
その日使用したふきんをハイターにつける。

その間、店じまいをしながら、その日ご来店くださったお客さまのお顔を思い浮かべる。
全員のお顔を思い浮かべられないほど大賑わいの日もあれば、
お話をした一言一句まで思い出せそうな日も。
大好きな時間です。

ハイターにつけたふきんをすすぐとき、鼻をつく塩素の匂い。

匂いや音、五感に訴えかけるものは、昔の記憶を呼び起こしますね。


塩素の匂い。プールの記憶。

7月。学校ではプールの授業が始まる頃でしょうか。

昔からぽっちゃり体型だった店主、
プールの授業で、「プールサイドで唇を真っ青にしてガタガタ震えている子」に憧れていました。
自分が決してならない現象に対する興味。
皆から心配してもらえる特別感。
当の本人はそれどころじゃないでしょうが。


同じような理由で、
「骨折して三角巾やギプスをしている子」にも強烈な嫉妬を覚えました。
ちょっとしたヒーロー。
これも本人は大変なんでしょうが、なぜか皆ちょっと得意げで、まんざらでもない表情だったような記憶があります。


塩素の匂いは、きっと夏と幼少期の匂い。
ようやく夏の尻尾が見えたところ。
7月のスタートです。