Anthem
空は夏色、暑い一日。
波乱に満ちたサッカーW杯ロシア大会もいよいよ佳境。
国の威信をかけた真剣勝負には興奮します。
が、僕が試合以上に楽しみなのが、各国の国歌。
どこの国歌も、基本的には戦意高揚を目的とした軍歌のようなものなので、血生臭い。
フランスの"La Marseillaise"なんて有名ですね。
試合前に気持ちを昂らせるという意味ではうってつけなんでしょう。
さらに、国歌から国の成り立ちなんかが透けて見えると、たまらなくゾクゾクします。
例えば、スペインとイタリア。
どちらも都市国家の集合体という似たような形成過程を辿っているにもかかわらず、国歌の在りようは正反対にも感じます。
スペイン国歌には歌詞がありません。
昨年、特に熱を帯びたカタルーニャ独立運動やバスク紛争。
地域によって言語も異なる(関西弁と東北弁の違いくらいのものだと思いますが)中、結局、共通言語での歌詞を付けられないそうです。
国家として一枚岩になれない、複雑な民族事情。
翻ってイタリア。
古くから独自に栄えた都市国家の集合体という意味ではスペインと似ていますが、国歌はどの国よりも熱を感じます。
是非YouTubeでご覧ください。
歌詞は御多分に洩れず血生臭いのですが、
「我ら一つの民族でないが故に、分裂していたが故に、一つの旗の下に…」という件りからは、一つになろうとする意思。
危ういバランスの上にあり、各民族を刺激することをよしとしなかったスペイン国歌と、
あえて一つの強烈なメッセージでまとまりを図ったイタリア。
良し悪しではなく、惹かれます。
今回のW杯にイタリアは出場できませんでした。
あのアドレナリンドバドバの国歌を、イタリア代表GKブッフォンが歌う姿が見れなくて寂しいかぎり。
国歌斉唱ではなく、国歌熱唱です。彼は。
というような話を先日お客さまとしていたのですが、
そのお客さまが「ハンガリーの国歌が自虐的でかわいい」
と教えてくださいました。
国歌を聴きながら訳詞を見ると、確かに。
これもハンガリーという国が辿った歴史を色濃く映す鏡のようです。
それにしても、「君が代」の旋律の特異さに敵う国歌はないですね。
静々と胸に雫が落ちるような調。
当店、サッカー関連、民族関連の本、少しございます。
ご興味のある方、アイスコーヒーでも飲みながら是非。
お祭りも、あともう少し。
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