鎌鼬の夜


夜、いつもの帰り途。風凪ぐ道。

発作のように鳴き始める夜の蝉に、
そっと合いの手を打つ秋虫の声。
主役の交代は少しずつ進んでいる。


木曜日。
木曜日を歌った曲が思い浮かびません。
週の始まりでも、真ん中でも、週末でもない日。
ロシア民謡「一週間」でも、
水曜日に来た友人を送っていくだけの日。


どうせなんでもない日なら、静かに凪のような気持ちで過ごしたいけれど、どこか心がさざめく一日でした。
そのさざめきを、コーヒーに悟られないように。
伝わらないように。息を潜めて。

でも、そんなさざめきは、夜の楽しいお客さまたちがビリビリに切り裂いてくださいました。
鎌鼬のように。そんな夜タテ。

タテイト珈琲店

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