11
枯葉を運ぶ風とともに、11月が始まりました。
少しずつ冬が正体を現しつつあるような、そんな気配を感じる季節。夜空には冬の星座。
ふと、「鉄風 鋭くなって」という曲を口ずさんでいました。
もう15年ほど前に解散してしまった、NUMBER GIRLというバンドの曲。
大好きなバンド、大好きな一曲です。
NUMBER GIRLのフロントマンである向井秀徳は、ある日の風を「鉄のようだ」と感じたそうです。
この肌感覚、五感が羨ましい。
風に強弱や温度ではなく、鉄という物質を探り当てるこの感性。
それに輪郭を付け立体化させ、曲にしてしまう。
説明を一切排除した、言葉の羅列。
支離滅裂にも思える歌詞ですが、フレーズの一つひとつからは情景がくっきりと浮かびます。
"ボルトの赫サビ 墨田川"
隅田川を見たことはないし、ボルトの赤サビもよく分からないのですが、二つの言葉を並べただけの歌詞から、とんでもない寂寥感が襲って来たことを思い出しました。
この曲が何月のこと、どの季節のことを歌ったものかは忘れてしまいましたが、僕には11月の歌だと思えてならない。
冷たいとまではいかず、暖かくはない、やや無機質な11月の風。
この風が、これから山々を赤く赤く染め上げていくのでしょう。
鉄に赤サビが付着するように。
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