at least not today

"At least not today"

好きな歌詞です。ふっと、安らぎます。


ギャラガー兄弟を中心とした、イギリスのモンスターバンド、Oasis。
残念ながら兄弟仲が悪すぎて解散してしまいましたが、ビートルズの再来とまで言われたイギリスの国民的ロックバンド。
ベタですが、好きです。
Oasisが好きなんて言うと、ミーハー扱いされたもんです。昔は。


Oasisの曲の中でも、第二のイギリス国歌とまで言われる
"Don't Look Back in Anger"。
この曲の最後の最後にノエル・ギャラガーがそっと添える言葉が、
"At least not today"です。


直訳すれば、「少なくとも今日ではない」でしょうか。
でも、なんとなく、自嘲気味に「もう、昔のことだけどね」と言っているように聴こえます。


なんとも不思議な曲です。
歌詞は全て簡単な英語で綴られているのに、ストンと入ってこない。
スラングのような言葉も見当たらないし、文法は中学校で習うレベル。
色んなサイトで日本語訳が載っていますが、
「さっき見たサイトと真逆の訳やん」なんてことも。


過去の情熱や青臭さと、現在の後悔のようなものを織り交ぜつつ、それでも、
「過ぎたことに感情的にならないで(Don't Look Back in Anger)」と、過去も現在も包み込む歌、でしょうか。


昨年、ギャラガー兄弟の出身地マンチェスターでテロが起きました。
その追悼式で、会場にいた一人の女性がこの歌を口ずさみ、それが会場全体に広がったそうです。
テロは卑劣で悲惨ですが、そうした事態にも一旦冷静になりましょうと呼びかけるような合唱だったと何かで読みました。
当然、20年以上も前の曲なので、そんな意図で作られた曲ではないのですが、その大合唱は鳥肌モノです。現地にいたら、ボロボロに泣くと思う。


中には、「過去なんて振り返らずに進んで行こう」という方もいらっしゃると思いますが、
今の自分を形作り、血肉となっているものが過去の積み重ねである以上、振り返って懐かしんだり後悔の念に囚われたりということは、自然なことだと思います。
不可逆な世界なのだから。

でも、少し深く考え込んでしまいそうなときには、
"At least not today"
"もう、昔のことだけどね"
と呟いて、コーヒーでも飲みながらクスッと笑えば、スッと肩の力が抜けるような気がします。

僕にとっての、魔法の言葉です。

タテイト珈琲店

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