バロンの目

長い長い夜。


店内から外に向けて何の気なしに写真を撮ると、いろんな光が作られていました。
信号機、車のライト、スポットライト。
窓ガラスの傷がそれらの光を吸い込み、曲げ、明らかになる。

「耳をすませば」の猫の人形・バロンの目を思い出しました。
映画であの目について語られていたかは覚えていませんが、原作ではその目の放つ光の秘密が語られていました。

目に埋め込まれた鉱物に職人が偶然付けた傷が、光を取り込むとキラキラと輝く。
そんな設定だったと記憶しています。

それと一緒だな、窓ガラスのこの傷は。
人間生きてりゃ大なり小なり傷は負うものでしょうが、光の当て方によっては眩くも鈍く輝いて見えるのかなーと、路上でお兄さんが書くベタな詩のようなことを考えていました。
あ、路上のお兄さんの件については、悪気も他意もありません。


それにしても、一画を切り取るだけでなんとなく都会的。
都会のような光。
神戸でも姫路でもなく、大阪の、梅田のような光だなと思いました。

タテイト珈琲店

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