風の歌

風が吹く一日でした。
少し棘々しくなった風が頬をつねるように。


"風"という字がタイトルに付く曲を思い浮かべていました。
風になりたい/THE BOOM
風をあつめて/はっぴいえんど
風のとおり道/久石譲
野風増/河島英五
etc…
我ながら、年齢のわりに古い曲ばかりです。

10年ほど前に流行った、秋川雅史の"千の風になって"。
カラオケに行くとおじさんたちが情感たっぷりにねちっこく歌っていたのを思い出します。

以前、秋川雅史が語っていた「この曲を歌う際に気をつけていること」が印象的でした。

曰く、「感情を入れない」「抑揚をつけない」ことがポイントだそうです。ああいう曲だからこそ。
確かに、秋川雅史が歌っている映像を見ると、目線の高さはほぼ一定、体の軸は動かない。
朗々と、淡々と。

だからこそ人々の胸に普遍的に響くのかなと思います。
誰のものでもない歌になるというか。
これがカラオケでおじさんが感情を込めすぎると、「そのおじさんの歌」になってしまうのだなと。
それが悪いわけではありません。カラオケだもの。気持ちよく歌えればそれでいい。


ただ、秋川雅史が歌っても、歌う場所、シーン、舞台、音響、色んな条件で多少印象の違いは生まれるのだと思います。
憚りながら、当店のコーヒーも少し似ているような気もします。

豆の状態や気温、カップの形状にコーヒーの味が若干左右されても、僕の感情が味を決めてはいけない。
「今日はやる気マンマン」とか、
「なんか気分が乗らないな」とか。
それを雑念と呼ぶのでしょう。

一杯ずつ、丁寧に。
この一心でコーヒーを。

タテイト珈琲店

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