プリンの謎
プリンを味見しているときに、ふと思いました。
プリンって、何だろう。
プリン、言うまでもなくプディング(pudding)の日本語訛り。
Wikipediaを見ると、その起源から種類まで色々載っています。
情報が多すぎて、もうよく分からない。
日本のプリンは、当店のようなものがオーソドックスなのだと思います。わりとど真ん中に近いプリンかと。
どこかからデザートとして伝来し、今の形で長く愛される人気者、という感じがします。
そんなことを考えていると、ふと思い出した話。
もう閉店してしまったのですが、多いときで週に2回ほど通っていた韓国料理屋さんが神戸の元町高架下にありました。
その店には時々、韓国からの旅行者が来ていました。
不思議に思い、僕はマスターに、
「留学生が故郷の味を求めて来るのはなんとなく分かるけど、旅行者わざわざここに来るのはなんで?」
と訊いたことがあります。
その理由が、とてもおもしろく思いました。
マスターは、「韓国の子には、うちの料理が珍しいねん」と言いました。
マスターは在日韓国人3世。
ハングルは自分の名前しか書けない、韓国語は話せない、韓国に行ったこともない。
ちなみに風貌は俳優の白竜。
ただの竜やないんよ、白い竜なんよ。
在日3世のマスターが作る韓国料理は、在日1世のおばあさまから受け継いだもので、一切手を加えていないものだったそうです。
すなわち、マスター曰く「60年とか70年前の韓国の家庭料理が、日本でそのまま保存されている」状態なんだそう。
なるほどなーと、深く感心してしまいました。
日本の食卓の欧米化と同じ道を、韓国も辿っている。
確かに僕は、60年前の日本の食卓と言われてもピンときません。
すいとんとか?いずれにしても、今の僕には珍しいものもあるでしょう。
「異国で昔の味がそのまま残っている」ということは、もしかしたらこのプリンにも言えるのかもしれない。
誰かが伝えたものがそのままの形で保存されて、プディングではなく「日本のプリン」になったのかもしれない。
日本料理もいずれどこかで保存されるのでしょうか。
カリフォルニアロールはちょっと違うか。
コーヒーの起源は諸説ありますが、それこそ有名な「カルディの伝説」におけるコーヒーは、どこの国のものがそれに最も近いのでしょう。
マスターのテールスープ、もう一度食べたいなぁ。
寒さが募ると、思い出します。
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